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探偵・逢川銀治「美山百合子」-6

2023/04/24

 銀治は河田が淹れた珈琲を飲み終えると、下書き途中の報告書を書き始めた。調査写真の選別をしているとスタッフ専用通用口のドアが開き秋本が帰社した。彼女は手荷物を机の上に置くと洗面所に向かい手を洗いはじめた。そして河田と秋本のミーティングがはじまり、秋本は今日の調査内容を報告した。2人のミーティングが終わると銀治は秋本を面談室へ呼び、先ほどまで百合子が座っていた場所に秋本を座らせ対話がはじまった。

「お疲れさん。今日一件の行方調査を受件した。それで、その調査をお前に任せる。」

「えっ。私がやるのですか?無理です。自信ありません。」銀治の唐突な言葉に焦りをみせた。尚も断り続ける秋本。埒が明かないと思った銀治は、秋本が調査に対し思い悩んでいる事を切り出した。誰にも相談していない悩みを銀治に言い当てられ、秋本は堰を切ったように泣きはじめた。銀治は秋本の調査に対する姿勢を評価したうえで決断した事を伝えた。彼女は泣きながら気持ちを整理したのか調査を引き受けたのだ。そして銀治は美山百合子の資料を秋本の前に置いた。

「早速明日から美山様の調査をしてくれ。他の調査の心配はしなくていいから、1から自分で組み立ててやってくれ、調査期間は3か月。」そう言って秋本の話しを聞く事なく面談室を退室した。残された秋本は気持ちを落ち着かせ、面談室の照明をおとして退室し自分のデスクへ戻り百合子の資料に目を通した。

 銀治は調査シフト表を書き換えると、河田と一緒に事務所を後にし帰路についた。