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カキクケコ

探偵・逢川銀治「序」

2023/04/17

「探偵」

 なかなか身近にいる職業ではない探偵。映画やドラマのように決して「BAR」にいるわけではない。依頼され対象者と呼ばれる人のそばにいる。逢川銀治もその一人だ。何をどう調べるのか?そしてどんな報告をするのか?

 調査会社が提出する報告書で人の人生が変わってしまう。いい加減な調査会社に依頼すれば、当然いい加減な報告書となり依頼者や対象者の人生も負の方向へと大きく変わってしまう。

 人の人生を左右するだけに、慎重かつ繊細な調査が求められる。ドラマや映画の主人公のようにカッコいい職業ではない。

 また、探偵に憧れて入社した大半の人は、三か月から半年の間に辞めていくのもまた現実である。特に尾行を伴う素行調査で多くの者が音を上げてしまうのだ。いつ動くか分からない対象者を長時間張り込む時は不審者と間違われる。工夫して張り込むが限界がある。やっと現れた対象者を尾行する時もバレない為のテクニックが必要であり、現実は想像以上に過酷なのだ。

 「尾行」も大きく分けて二つある。一つは浮気を含む素行調査の尾行。もう一つは行方調査の尾行だ。素行調査の尾行は万が一失敗しても取り返しはつくが、行方調査の尾行は失尾したら最後である。

 そもそも「何のため」の「尾行」なのか?

 この問いの答えが理解できなければ、良い調査は絶対にできない。その答えは「証拠」の為である。

 一番大切なのが「証拠撮影」だ。対象者の決定的瞬間を撮影できなければ、これまでの長時間の張り込みや、ハードな尾行の一つ一つが全て無駄になってしまうのだ。裁判になっても、「勝てる」「勝つ」撮影映像でないと全く意味がないのだ。依頼者の勝敗がその後の人生を大きく変えてしまうからだ。

 探偵の醍醐味「人探し」いわゆる行方調査は、先に述べた行動系調査とは異なり、地味であるが実に奥深い調査だ。特に生き別れの調査となると、依頼者と対象者の空白の「時」を埋めていかなければならない。決して見つけて終わりという単純なものではないのだ。

 調査過程で事実だけを沢山並べても、一つの真実には到底及ばない。一つ一つの事実の裏に隠れている真実を探り当てるのが探偵の仕事なのだ。

 探偵・逢川銀治の舞台の幕はあがった。

 

※※※これから始まる物語は、全て実話をもとに登場人物の名前を変えています※※※